その他の雑学

江戸の台所から:謎のかんたん再現レシピ8品(現代アレンジ)

江戸の味は「旬」と「かえし(醤油×みりん×砂糖)」と「火加減」。本稿では、今日から作れる再現レシピ8品を、現代の台所で失敗しにくい配合で示しすでござる。当時の料理書や伝承に見られる甘辛・出汁の効かせ方をベースに、家庭で作りやすい食材と分量に調整(所説あり)。

本稿は“雰囲気と味”の再現を目的とした現代アレンジです。歴史的厳密性より作りやすさを優先しているでござる。


目次

  1. 深川めし(ぶっかけ式)

  2. 豆腐の田楽(赤味噌だれ)

  3. けんちん汁(ごま油香る)

  4. 江戸前そば:基本の「かえし」と「もりつゆ」

  5. まぐろのヅケ丼(煮切りだれ)

  6. 佃煮(昆布&しらすの簡易)

  7. 茶飯(ほうじ茶で炊く)

  8. わけぎのぬた(酢みそ)

きょうは江戸の台所を拙者と一緒に旅するでござる。むずかしい道具は使わず、味の決め手は「かえし」と「出汁」。手早く、粋に仕上げるのが流儀でござるよ。


1|深川めし(ぶっかけ式・10分)

材料(2人分)
あさり(むき身)150g※冷凍可/長ねぎ 1/2本(小口)/しょうが(千切り)少々/だし 180ml/酒 大さじ2/みりん 小さじ2/醤油 小さじ2/ごはん 茶碗2杯

つくり方

  1. 小鍋にだし・酒・しょうがを入れ中火。

  2. 沸いたらあさりを入れ1分。

  3. みりん・醤油で調え、ねぎを加えて火を止める。

  4. 熱いごはんに具と汁をたっぷりかける。

さむらいTips:煮すぎると身が固くなるゆえ、短時間で退くのが肝でござる。


2|豆腐の田楽(赤味噌だれ・15分)

材料(2人分)
木綿豆腐 1丁(300g)/赤味噌 大さじ2※合わせ味噌でも可/砂糖 大さじ1と1/2/みりん 大さじ1/酒 大さじ1/白ごま 少々

つくり方

  1. 豆腐はキッチンペーパーで10分水切り。

  2. 味噌・砂糖・みりん・酒を小鍋で弱火2〜3分、照りが出たら止める。

  3. 豆腐を食べやすく切り、フライパンで乾焼きして水分を飛ばす。

  4. たれを塗り、表面をさっと焼き締め、白ごま。

さむらいTips:豆腐は焼いて水分を抜くと、たれがのって粋でござる。


3|けんちん汁(ごま油香る・20分)

材料(2〜3人分)
大根 5cm/にんじん 1/3本/ごぼう 1/3本/木綿豆腐 1/2丁/長ねぎ 1/2本/ごま油 小さじ2/だし 600ml/醤油 小さじ2〜3/塩 ひとつまみ

つくり方

  1. 鍋にごま油、ささがきごぼう・短冊大根・にんじんを炒め、香りを出す。

  2. だしを注ぎ、アクを引きながら10分。

  3. ちぎった豆腐・斜めねぎを加え、醤油と塩で調える。

さむらいTips:醤油は控えめ、出汁を立てるのが江戸流でござる。


4|江戸前そば:基本の「かえし」と「もりつゆ」

かえし(約300ml・作りおき)
濃口醤油 180ml/みりん 90ml/砂糖 大さじ1〜2

  • 小鍋で合わせ一度だけ沸かす→粗熱→密閉→一晩おければ尚よし(30分で即使用も可)。

もりつゆ(1人分)
かえし 40ml:温または冷の出汁 120〜160ml(1:3〜4

  • かつお・昆布の一番だし推奨。甘めが好みならかえしを気持ち多めに。

そばのゆで方
大鍋のたっぷりの沸騰湯で袋表示どおり。差し水は不要。流水でぬめりを落とし、氷水でキュッと締めて盛る。

さむらいTips:薬味はねぎ7わさび3の気持ちでござる。つゆはちょい浸しが粋。


5|まぐろのヅケ丼(煮切りだれ・10分+漬け10分)

材料(2人分)
まぐろ刺身 200g/ごはん 2杯/刻み海苔・白ごま 適量/わさび 少々
漬けだれ:醤油 大さじ3/みりん 大さじ2/酒 大さじ1(煮切る

つくり方

  1. たれを小鍋で1分ほど沸かしアルコールを飛ばし、粗熱をとる。

  2. まぐろを10〜20分漬ける。

  3. 温かいごはんにのせ、海苔・ごま・わさび。

さむらいTips炙りにすれば生が苦手な御仁にも優しいでござる。


6|佃煮(昆布&しらすの簡易・15分)

材料(作りやすい量)
刻み昆布 20g※または塩昆布/しらす 50g/醤油 大さじ2/みりん 大さじ2/酒 大さじ1/砂糖 小さじ1

つくり方

  1. 小鍋に調味を合わせて軽く煮立てる。

  2. 昆布・しらすを入れ、弱火で水気がほぼ飛ぶまで

  3. 冷めると味が締まるので、気持ち早めに火を止める。

さむらいTips:仕上げに酢を数滴で後口すっきりでござる。


7|茶飯(ほうじ茶で炊く・炊飯器)

材料(2合)
米 2合/濃いめのほうじ茶 420ml(目安)/薄口醤油 小さじ2/塩 ひとつまみ

つくり方

  1. 洗米し30分浸水。

  2. ほうじ茶+調味で2合の線まで。

  3. 通常炊飯。蒸らし10分、天地返し。

さむらいTips:油揚げを細く入れても旨みが増してでござる。


8|わけぎのぬた(酢みそ・10分)

材料(2人分)
わけぎ 1束/白味噌 大さじ2/酢 大さじ1と1/2/砂糖 小さじ2/からし 少々

つくり方

  1. わけぎは塩少々を入れた湯でさっと茹で、冷水に取り水気を絞る。

  2. 白味噌・酢・砂糖・からしを混ぜ、和える。

さむらいTipsぬめりは旨み。絞りすぎ注意でござる。


コラム|江戸の味付け「早見表」

  • 煮物(甘辛):醤油:みりん:酒=1:1:1+砂糖 少々

  • 照り焼きだれ:1:1:1+砂糖 小さじ1(/100ml)

  • ヅケ地:醤油:みりん:酒=2:1:1(煮切り)

  • そばつゆかえし1:出汁3〜4

調味は入れすぎず、火は入れすぎず。退き際がうまさの秘訣でござる。


季節の小鉢セット例(献立組み)

  • :わけぎのぬた+けんちん汁+もり蕎麦

  • :茶飯+豆腐田楽+きゅうり浅漬け

  • :深川めし+しめじの照り煮+お椀

  • :ヅケ丼+けんちん汁+佃煮